第1章 邂逅
「黙って来た」
「ルカ」
「うん、でもさっきメールしといた。
ハンター試験に合格したら帰るって」
「……驚かせないでよ♠」
数年前、ルカが迷子になったことがある。
すわ誘拐か、と大騒ぎになった。
団員総出で捜索し、ルカが見つかった時には……
とある国を半壊滅状態にしてしまっていたという。
何をどうすれば、そんな事態になるのか。
……一番躍起になって探していたのがクロロだった。それがいけなかったのかも知れない。
ルカが幻影旅団に拾われたのは……旅団が結成されて数年の頃。
それから10年あまり、旅団員は皆ルカを我が子か妹のように扱っている。
胡散臭い輩=ヒソカ他がルカに触れようものならば、マチの念糸をはじめ、ありとあらゆる攻撃が全方位から降ってくる。
そして、ゴミ山の中からルカを拾ってきた張本人が
何あろう、幻影旅団団長クロロ=ルシルフルその人なのだ。
兎も角、クロロに黙ってルカが家出なんかした日には……大変なことになる。ハンター試験なんぞはぶち壊しになること請け合いだ。
それを承知しているからこそ、ルカもクロロにだけは居所を教える気になるし、ヒソカも顔色を変えて確かめる。
「そーいうヒソカはなんでここにいるの?
ハンター試験は去年受けたんでしょ?」
「ああ、失格になっちゃった♥」
「………」