第10章 天空闘技場 200階の壁
『キルア選手、またしても1発KO勝ちィ~!』
『隣の会場ではゴン選手が、そのまた隣の会場ではルカ選手が、どちらも1発KO勝ち!
これで3人とも3日前に参加以来、6戦連続無傷の勝利です!』
『手刀のキルア、押出しのゴン、そしてデコピンのルカ!
果たして、3人の快進撃はどこまで続くのでしょうか~⁉』
ワアァァ……!
闘技場の興奮をそのまま伝えるVTR。
TVから自分達の名前が流れてくるのにもすっかり慣れた頃、ルカ達は天空闘技場の100階に登っていた。
「やった~個室だぁ~‼」
「わ~い♪」
与えられた個室に入るや否や、ルカとゴンはベッドにダイブする。
バスン!とルカがベッドに腹這いになり、ゴンはその隣に座る形で飛び乗った。
流石にそこまではしゃげないキルアは、ベッドの側にスツールを寄せて腰を下ろす。
100階にもなると、選手への待遇が格段に良くなる。勝利した者には個室が与えられ、ファイトマネーも2桁階クラスとは0がいくつか違ってくる。
事実、3人の口座に振り込まれたファイトマネーはすでに億を超えた。
「ちょっと悔しいな。
俺が初めて来た時、150階まで登るのに2ヵ月かかったんだぜ?」
「えー、でもそれって6歳の時でしょ」
「そーだけどさ」
言いながらキルアは口を尖らせ、手持ち無沙汰にTVのチャンネルを回した。
「あ!ズシが映ってる。まだ50階にいるんだね」
知った顔を目敏く見つけたのはルカだ。
キルアはそのままザッピングを止め、ズシのVTRを凝視する。同じ画面を見ながら、ゴンが呟く。
「キルアが嫌な感じって言ってた『レン』って一体何なんだろうね」
「んー
もっと上の階に行けば、同じ技を使うヤツがいるかも知れないから……」
「それよか、ズシに聞いた方が早いんじゃない?」
「そうだ!ゴン良いこと言う」
盲点をつくゴンの発言にルカが同意すると、すかさずキルアが半眼で睨み付けてくる。
「そうだな!
どっかの誰かさんは『ネン』だか『レン』だか、ろくすっぽ説明できねーみたいだからな!」
ゲシッ!とジャンパースカート越しのお尻に蹴りまでくれる。
「ぐっ」
ルカは甘んじてその蹴りを受けながら、ベッドに顔を埋めた。