第3章 貧血
ーー頭が痛い。
ふと、そう思った。熱なんて無い筈なのに、頭がズキズキと痛む。思わず額を押さえた。
マーガレット作りで夜更かししたからだろうか。
「おい藤宮ー、額押さえてどうした」
「へっ!?」
ふと先生が私に振る。私は思わず奇声を発した。あまりにも変な声だったからか、クラスのあちらこちらからクスクスと笑い声が聞こえる。カーッと体が熱くなった。
「ちゃんと話聞けよ」
そう言うと、先生は名簿へ視線を戻す。私は小さい声ではい、と返事をした。おそらく先生には聞こえていないだろうけど。
私は話を聞いている振りをして、ちらりと視線を窓の外に移した。めぐみのクラスは体育だと言っていた気がするが、ここから見えるだろうか。
私の学校では、体育はA組とB組、C組とD組の2クラスずつで行う。めぐみはA組、私はC組なので、一緒に体育が出来ない。もし一緒だったら、もっと一生懸命取り組むのに。
私は溜め息を吐いた。
「……薫、俺の話は溜め息を吐く程つまらないか」
「えっ!?」
私は驚いて、思わず立ち上がる。座らなければ、ということに数秒遅れて気が付いて、急いで座る。