第3章 貧血
「わ、薫!こんなに作ってきてくれたの!?」
私が机上に置いたビニール袋を見て、めぐみは目を丸くした。
私は得意気に、ビニール袋を開ける。中には、折り紙で作られたマーガレットがたくさん入っていた。
「頑張ったよー」
「ありがと、助かるよ。これを全部輪っかにして……」
めぐみは説明を始める。けれど、私は聞いていなかった。
ーー良かった、役に立てた。
そんな思考で頭が埋まる。
「……薫?聞いてる?」
ふと、めぐみの声がして、私は顔を上げた。その途端、チャイムが鳴って、先生が入って来る。
「やば、そろそろ教室戻ろ。あ、これ預かっても良い?」
彼女の言葉に、私は頷く。するとめぐみはビニール袋を掴み、自分の教室へと走る。彼女の髪の毛が跳ねるのを、私はただ黙って見ていた。
入ってきた先生が、「今日は……」などと話し始めるが、皆聞く気なんて無いようで、机につっぷしている人がたくさんいた。無論、私もその一人だ。