第4章 夢と思い出
「………………」
私は寝返りを打つ。寝返りを打てば、彼女の寝顔がよく見えるからだ。
変態みたいだな、と心の中で自嘲した。
「…懐かしい、夢を見たの」
ぽつりと呟く。どうせ誰もいないんだ、独り言し放題じゃないか。
「めぐみは、忘れちゃってるかもしれないけど…私も忘れてたし」
これは独り言なのだろうか。私は一体、誰に話しかけているのだろう。
分からなかった。
「そうだったね、めぐみの夢は」
耳の奥で、夢の中の彼女の声が蘇る。そんなに昔のことでもない筈なのに、何故か数十年も前のことに感じてしまう。
『まだ詳しくは決まってないけど…誰にも縛られずに、自由な人生を送りたいな』
小学生にしてはやけに大人びた回答。カッコいい、と思った。