第10章 下忍の任務
ルナが悩んでいると、シンコが、そういやあ、と言ったのが聞こえた。
「なんで髭のことば突っ込まれんかったんやろ?」
「確かに、そうだな。」
「そうですね。」
シンコ、テンマ、イタチの視線が、ルナに突き刺さった。
「ルナちゃん、やっぱあんときなにかしよったんか?」
「えぇーっと………」
(やっぱりバレたか………)
ルナは口籠もった。
「やっぱりか……」
イタチが呟いた。
「実はまあちょっと、小細工をね…………」
ルナが言いにくそうに説明を始める。
「へーぇ、どんな?」
シンコはグイグイ切り込み、他の二人はそれをじっと見ている。
「な、なんて言うか……も、元の長さくらいまで、伸ばした…………」
「はっ?」
三人の声がぴったり揃った。
「えぇえー!そんな術があるんかいな!」
「ルナちゃん、スゲー………」
「やはりルナの仕業か……………」
シンコ、テンマは酷く驚き、イタチはやっぱり、という顔をしていた。
(あーあー、シンコちゃんとテンマ君、びっくりしてるなぁ………イタチ兄さんはそうでもないみたいだけど。)
予想はしていたが、かなりびっくりされてしまったことに、ルナは心の中で溜息を吐いた。
(て言うか何でみんな気づかないの?ド近眼なの?)
ルナは皆の視力が心配になった。
シンコが質問を続ける。
「猫婆にばれへんようにするためか?」
「いやだって、髭って猫にとって重要でしょ?しばらくあのままは可哀想かなって………」
ルナがそう言うと、三人は驚き、次の瞬間、なぜか涙ぐんでいた。
「み、みんなどうしたの?」
ルナは少々困惑気味に訊いた。
「だって……ルナちゃんが余りに優しくてな………」
「まさに天使………」
「ルナ…兄さんは嬉しいぞ…………」
シンコ、テンマ、イタチは、心から感動しているようだった。
「イタチ兄さんまで………大袈裟だなあ。」
ルナはそんな三人を、少し困ったような顔で見ていた。
『ルナ様、私も嬉しゅうございますよ!』
頭の中で李蘭の声がした。
まあ猫は正義だからな。