第10章 下忍の任務
「俺を助けた気になってんじゃねえぞ!」
気づくと、テンマがイタチに食ってかかっていた。
「そんなつもりはないです。」
イタチはまた至極冷静に返す。
「オメエの助けなんてなくたってなあ!」
テンマがイタチにグイと顔を近づけて、迫っている。
ルナは放っておけなくて、二人の間に割り込んだ。
「まあまあ、テンマ君、喧嘩しないで。
それに、仲間なんだから助けるのは当たり前だよ?」
まあルナも緊急時にはイタチを優先してしまいそうだが。
「そやで!ルナちゃんはエエこと言いよるわ!
仲間やけん助けるのは当たり前や!」
「はぁ仲間?ルナちゃんはともかく、なんで俺がコイツと?」
テンマがイタチを指差しながら言う。
「僕は任務を遂行しただけで……」
イタチは少し慌てている。
そんな二人を、シンコが殴り飛ばした。
「うっ……」
イタチがこんなことで怪我する訳ないので、ルナは放っておいた。
「アンタも難しいことば言わんと?
ほれテンマ、イタチとルナちゃんに言うことがあるっちゃろ。」
シンコはイタチをたしなめ、テンマを促した。
するとテンマは、
「ルナちゃん、助けてくれてありがとう!
イタチ、この借りは必ず返すからな!」
と言って、またシンコから肘鉄を貰っていた。
(仲間か……)
心の中でルナとシンコの言葉が響いて、イタチはふっ、と笑った。
ルナはイタチがいつの間にか少し笑っているのをみて、少し嬉しかったが、
すぐにテンマのことを思い出して焦燥感に駆られた。
(どうすれば、テンマ君を助けられる?)