第10章 下忍の任務
テンマはそれで我に帰って、
「アカデミー首席の意地っつうか恥ってもんはねえのかよ!」
と言った。それに対してイタチは、
「恥?任務の遂行に見た目は関係ないと思いますが。」
と至極真面目に返して、テンマを苛立たせていた。
「はいはい喧嘩しないでね。これが依頼の忍猫の写真ね。」
ルナは水無月上忍がテンマに渡した写真を覗き込んだ。
(はうぅ~!このタレ目、堪らない………)
ルナは密かに悶絶した。
「にゃにゃにゃ~!ほんなことをにゃんちゃんばりおおかとにゃ~!」
シンコは訳のわからないことを言いながら猫じゃらしで猫の気を引こうとしている。
「それつけてんだから下手な猫語はいらねえっつうんだよ!
そもそも方言きっついんだからよりわかんねえだろ!」
テンマが突っ込んでいた。
「て言うか、そう言うテンマこそ、意地はなかと?」
「んだよ!任務なんだから仕方ねえだろ!……ったく、一族の恥だぜ。」
「そげんことば言って、バリバリ似合うとるや~ん!」
テンマが恥ずかしそうにしているのが面白くて、ルナはクスクス笑った。
それから、依頼の忍猫がいるという、猫魔殿の近くにやって来た。
「じゃ、俺とルナちゃんとイタチ、テンマとシンコ、の二班に分かれるよ!」
「はーい!」
四人の声が揃った。
「じゃ、まずはターゲットの居所を掴め!任務開始だ!散!」
水無月班は二手に分かれた。
しばらく行って、たむろしている猫の集団を見つけた三人は早速聞き込み調査した。
「すみません、この猫さんを探しているのですが………」
ルナはそのうちの一匹に話しかけてみた。
するとその猫がルナに擦り寄った、と思ったら、他の猫がみんなルナに群がってきてしまった。
ルナの持っていた写真を覗き込んで口々に言った。
「うーん、なんか見たことあるかもしれないニャ………」
「あ、この猫知ってるニャー!」
「なんでこいつ探してるのニャ?」
などといろんな声が聞こえた。
「ルナちゃん、大人気だな………」
水無月上忍が呟いた。