第10章 下忍の任務
テンマについていくと、水無月上忍とシンコがいて、そのまま依頼主の所へ移動した。
が、何だか凄い廃墟ばかりだった。
(この任務……もうそんな時期か。)
ルナは猫婆の猫探し任務を思い出した。
そのまま誰も口を開くことなく、猫婆の家まで来てしまった。
猫婆の家にはいっぱい猫がいて、前世に熱烈な猫好きだったルナは、踊り上がりたいのを必死に堪えた。
「この間買って行ったクナイの使い勝手はどうだった?イタチ。」
「なかなかのものでした。」
「なかなかか……言ってくれるねえ。軽量化と切れ味を両立させた代物だよ。
よそで同じものを買おうとしたら同じ値段じゃきかないよ。」
「父からも礼を言っておけと申しつかってます。」
「礼なんざいらないから今回の依頼料負けてもらえないかね隊長さん。」
「それとこれとは別の話ですから。」
猫婆とイタチと水無月上忍が話している間、ルナは擦り寄って来てくれた猫を抱き上げて撫でていて、あまり話を聞いていなかった。
「猫見つけるだけだろ?なんでこんなものつけなきゃなんねえんだよ!」
「テンマは相変わらずしゃーしかねえ。」
「何だよ!文句あんのか!」
シンコが呆れたようにテンマに言い、テンマが食ってかかっていた。
「まあまあ二人とも、リベンジだと思って頑張ろう?」
猫婆に怒られないうちに、ルナが仲裁に入った。
「そやな、頑張ろ!」
「そ、そうだね!」
二人とも静かになってくれた。
「依頼したのはただの迷い猫探しではない。忍猫の捜索じゃ。
それも猫の集う地底の猫魔殿じゃからな。」
「ほー。やけんこの猫語のわかる忍具……
猫具?が必要になるニャン、じゃね~」
ルナとイタチはその猫具を受け取り、同時に頭につけた。
て言うかこれ、ただの猫耳カチューシャ……?
「だけど諜報活動だけなら…おわっ!」
テンマとシンコの声が、おわっ、の部分だけシンクロした。
見ると、テンマとシンコの目がハートになっている。
「ルナちゃん、よう似合うとるね~」
「ルナちゃん……か、可愛い……」
シンコは鼻血、テンマはよだれを垂らしている。
イタチはテンマの発言を気にしたのか、
「俺のルナは渡しませんよ。」
と呟いた。