第50章 計画、始動
ルナが氷遁を使うのを止め、靄がおさまったとき、
半径100m以内の森は凍りつき、陽の光を反射して眩しいほどに輝いていた。
「……よし。こんなもんかな。」
ルナが取り敢えずの出来に満足し、大蛇丸に目配せした。
「大蛇丸さん!下に何か、落としてみて下さいよ!自分が落ちるのは、ダメですよ?」
「え?……ふむ、そうね……じゃあ…………」
大蛇丸が懐からハンカチを出し、下に放り投げる。
柔らかな布でできたそれは、地面に到達した瞬間、氷に覆われ、カチンコチンに固まった。
「氷遁・氷柱!」
ルナが印を結んで地面から氷柱を発生させ、そのハンカチを持ち上げる。
ルナの影分身がそのすぐ側まで飛んで行き、大蛇丸にそれを見せた。
「ほら!凍っちゃってますよ!今このあたり一帯は、巨大冷凍庫になってるんです!」
ルナが興奮気味にまくし立てる。
「ほぅ……これは、氷を操るというよりは、ものを凍らせる術なのね……しかも、凍った部分に触れたものまで巻き添えにして……
……これ、どれくらい保つのかしら?」
大蛇丸はルナの影分身に抱えられたまま、首を傾げた。
「そうですねー……使ったチャクラの量次第なんでなんとも言えませんが、数週間は見てもらったほうが良いでしょう。
あと数日くらいは、触ったら即凍結しちゃうので、気をつけてくださいね。」
ルナはそう言うと、会話の内容に合わない無邪気な笑顔を浮かべた。
「そうね……気をつけるわ…………」
(それって、いつでも私を殺せるってイミかしら…………?)
大蛇丸はルナの言葉の意味の裏側を勘繰ったが、口には出さなかった。
そのつもりなら、もうとっくにやっているだろう、と思って。