第50章 計画、始動
それが終わった後、ルナは部屋で少し休み、それから大蛇丸のところへ向かった。
「大蛇丸さん、約束、憶えてますか?」
「…………ええ。今行くわ。」
ルナがドアを叩いてしばらくして、中からトレードマークのネジネジを巻いた大蛇丸が出て来た。
「……術を見てあげるって約束だったわね……行きましょうか…………」
「…………はい。今日は、氷遁の新術と…………あと、例の、"光の槍"を……」
「そう……ふふ、楽しみね…………」
大蛇丸がルナを先導し、二人はアジトの外へ出た。
アジトから10kmほど離れたところで、二人は立ち止まった。
「じゃあ、早速やってもらおうかしら…………氷遁の新術とやらから。」
「……はい。大蛇丸さんきっと、びっくりしますよ〜!」
ルナが茶化したような表情で両手を合わせ、印を組む予備動作をする。
「……あ!そうだ、このままじゃ大蛇丸さんが氷漬けになっちゃいますねぇ……よし!
影分身の術!」
ルナは影分身を一体出し、その影分身が大蛇丸を抱き上げて、空へ舞い上がった。
遅れて、ルナ本体も空に浮き上がる。
「ちょっ……ルナちゃん……」
「まあまあ、そこで見ていて下さいよ〜!」
突然の出来事に少し驚いたような顔をしている大蛇丸には構わず、ルナは至極楽しそうな笑顔で、高速で印を結んだ。
「氷遁・全球凍結!」
空気が、地面が、ルナの周りから凍りつき、氷が瞬く間に広がる。
空間を伝う冷気は草のみならず木までを凍らせ、世界は急速に白銀色に染まっていく。
更に、空気中の水蒸気が凝結してダイヤモンドダストになり、あたりはキラキラと煌めく靄に包まれた。
それだけでは足らず、ルナが片手で水遁を使い、指の先から水を噴き出すと、
それはたちまち凍結して、巨木の造形を象ったような、芸術的なオブジェになる。
これは、ルナがその能力を自由自在に扱えることを、存分に示している。
大蛇丸は神の所業のようなその光景を、目を見開いて見ていた。