第50章 計画、始動
服を着替えて影分身と交代し、ルナは自室から出た。
向かった先はなんとキッチン。
昼までもうあまり時間がないため、割と急いで昼食を作らねばならない。
大蛇丸がいるときに食事を作るのはルナの役目だからである。
ことの発端は、ルナが大蛇丸のところに来てじきのときに遡る。
あるとき、ある部下の不手際で、食事が一人分足りないという事態が発生した。
だから、ルナは自分はいらないと言うと、シスイから料理を教わっていたときのことを思い出しながら、
自分で自分の分を作ったのだった。
食べなくても平気ではあるが、それを大蛇丸に知られたくはないからだった。
メニューは簡単にハンバーグ。あと野菜スープと米。
そして、キッチンから漂ういい匂いに惹かれてぬっと顔を出したのは、なんとあの大蛇丸。
大蛇丸が覗いているのを見て、ルナは冗談のつもりで訊いた。
大蛇丸さんも食べますか?、と。
すると、大蛇丸は無言でハンバーグ(デミグラスソース)を一口食べ、ルナに背を向けて言ったのだ。
これから、ワタシがいるときは、ルナちゃんが食事を作ってくれるかしら、と。
ルナは驚いたような顔をしながらも、大蛇丸の申し出を快諾した。
大蛇丸は、そう、ありがとうと言うと、ルナの前から去っていった………………
……という、世にも奇妙なエピソードがある。
大蛇丸がつまみ食いしただけでも驚きなのに、最近はリクエストまで出してくるし、
終いには一週間先の献立まで勝手に立てている。