第50章 計画、始動
ガキンッ
ルナをすり抜けて、大針同士がぶつかり、地面にバラバラと散らばる。
「え…………」
予想外の事態に、カンクロウは呆気に取られ、小さな声を漏らした。
当たり前だ。絶対に当たるはずだった攻撃が、全く当たらなかったのだから。
「残念でしたね、カンクロウさん。この私に物理攻撃は通用しませんよ。全部、すり抜けちゃいますから。」
ルナが艶美に微笑み、クスクスと笑う。
「そうか……なら…………」
カンクロウが呟くと同時に、毒針の台座から紫色の毒煙が放出され、ルナに降りかかる。
それを避けもしないルナを見て、カンクロウは口角を上げた。
ルナは紫煙を突っ切って、ゆっくりとカンクロウに歩み寄った。
「…………ふふっ……そんなのが効くとお思いで?
舐められたものですね…………私、思ったより知名度低かったってことですか?」
ルナが蔑むような微笑み(演技)を浮かべ、カンクロウに歩み寄る。
「な…………」
毒さえもが全く効いていないことに気がついて、カンクロウは更に驚く。
しかし、立ち上がるような体力はもう残っていなかった。
「……さてと。もう、茶番は十分ですよね。
じゃ、私そろそろ行きますね。上の方に報告、よろしくお願いします。
では、おやすみなさい!」
ルナの神通眼の陰影が、くるくると変化する。
カンクロウが意識を失う前、最後に見たのは、宝石のように煌めく二つの黄金色だった。
「…………はぁ……帰ろ。」
後は、影分身からの報告を待って、我愛羅を砂に返せばいいだけだ。
原作通りなら、およそ三日…………気長に報告を待つことにした。
ルナは溜息を一つ吐くと、大蛇丸のアジトに帰った。