第50章 計画、始動
「……っ!」
カンクロウはやっとのことでルナから離れ、例の三体の傀儡を口寄せした。
「……なら、力尽くで押し通るまでだ!俺だって三年前とは違う!
負けられない理由がある!」
「ふふっ、そうですか。良い心がけです。
ただ…………身の程は知ったほうがよろしいかと。
だってあなた…………それ、サソリさんの傀儡じゃありませんか。ねぇ?
傀儡師としての誇りはないんですか!そろそろオリジナルで戦いましょうよぉ。
まあ私も、傀儡は守備範囲外なんで、人のこと言えませんけどねぇ。」
ルナはそう言うと、何気なくシュッと手を振って、風を起こした。
チャクラを練りこまれた風の刃が、カンクロウと三体の傀儡に襲いかかる。
カンクロウは傀儡と共にそれを躱し、カラスの武器をルナに向かって繰り出す。
ルナは空を飛んでそれを躱し、上からカンクロウに突撃した。
(土遁・重岩の術!)
そして、自分の体重を一瞬だけ十倍近くまで重くし、その全重量をカンクロウに叩き込む。
「うおあっ!」
ルナの大砲のような一撃を食らったカンクロウは、15mほど吹っ飛んで塀に激突し、ヒビを入れた。
(…………イッテェ……なんだあの蹴り…………早速ピンチじゃん……)
かろうじて意識は失っていなかったが、全身の骨にヒビが入っていた。
(……でも、まだ指は動かせる……まだ、まだ終わってねぇ!)
執念でチャクラ糸を動かし、カラスの巨大毒針をルナに向かって上下前後左右、十方向から放つ。
(……ん、カンクロウさんやるじゃん。アレの使いどきかな。)
ルナは死角なく針が迫ってくるのを察知すると、神通眼を開き、神威のオートすり抜けを使用した。