第49章 二年後
(……これも、ルナのせいかな…………)
腕の中の純白の少女を見つめ、君麻呂はほんの少しだけ笑って、ルナの頬を撫でた。
小さくて弱そうなのに、驚くほど強い。そして、冷酷。
それが、ルナに対する君麻呂の第一印象。
それは確かに、ルナの一面ではある。だが、それだけではないことを知るのに時間はかからなかった。
優しくて、でも引き際を誤らない……いや、引き際を変えていってしまうルナに、君麻呂は驚きもしたし、不思議にも思った。
普段なら考えられないようなことをさせられているのに、なんで腹が立たないんだろう?
自らは意識せず、ごくごく自然に、周りの人間を変えてゆく。
それがルナの第二の才能でもあると、君麻呂は理解していた。
(……まぁ、いいか。)
君麻呂は自らがそれに嵌っていることに気がつきながらも、止めようと思わなかった。
君麻呂の求めているそのままではなくとも、それに近いものを、ルナは常に贈ってくれるのだから。
その上、今日のような触れ合いを味わっては、嫌いになれるわけがなかった。
「……ルナ、おやすみ。」
ルナの額にそっと口づけて、君麻呂はルナの後を追った。
君麻呂に護られたルナの眠りは、いつもの通り、彼女を癒していく。
それは、来たるべきときのための糧。
サスケもイタチも守り、世界を平和にする。そのために。
ある意味で我欲のために、ある意味で皆のために。
天使は今日も、美しく清らかに、世界を平和にするために生き続けている。
………………その結末が、本当に世界を救うかはわからないけれども。