第49章 二年後
君麻呂や香燐、多由他の存在によって、ルナの精神はなんとか持ち堪えているとはいっても、
親代わりだった李蘭や那由他、兄として慕っていたイタチやシスイと長いこと逢えないのは、
ルナにとってとても淋しく、辛いことだった。
それは、二年が経過した今でも、変わっていなかった。
変わったことと言えば、ルナが大蛇丸一味、もっと言えば君麻呂とかなり親しくなっていることだ。
初めの頃はルナに抱きつかれて硬直していた君麻呂は、今は自ら抱き締めるまでになっていた。
君麻呂はルナを抱く度に、これは大蛇丸様の器を、大蛇丸に都合の良い時期まで健康に生かしておくためだと言い聞かせていたが、
その実、君麻呂が大切にしていたのは、大蛇丸の器ではなく、ルナ自身だった。
我儘で自分勝手で残酷で…………優しくて、温かくて。
ルナを好きになどなる筈がないような立場の人間も、ルナに触れればすぐに堕ちてしまうのだった。