• テキストサイズ

神隠れの少女【NARUTO】

第49章 二年後


それぞれにシャワーを浴び、身体を拭いて新しい服を着て、ルナがシャワールームから出てくると、君麻呂は既に出ていた。

「あー、気持ちよかった……あ、君麻呂さん、早いですね。流石。」

ルナが髪の毛を少し雑に拭きながら、君麻呂の横に座る。

「…………まあね。僕の髪は君ほどじゃないから。」

そう言う君麻呂の髪は肩のすぐ下まで。

それにひきかえ、ルナの髪は腰まであった。

「そうなんですけどねー……なんだか切りたくなくて……」

ルナが自分の湿った髪の毛を指で梳き、ボソッと呟く。

確か、最後に髪を切ってくれたのは李蘭だったか。

ルナはどことなくしんみりして黙り込み、手を止めてしまった。

「…………ルナ。ちゃんと拭かなきゃ。風邪をひいてしまうよ?」

髪を拭くのをやめてしまったルナを見て、君麻呂が声をかける。

それでもルナは黙りこくったままで手を動かそうとはしなかった。

と言うよりも、できなかったのだ。

どうかしたのかと、君麻呂がルナの顔を覗き込むと、ルナの薄青の瞳には涙がなみなみと溜まっていて、今にも零れ落ちそうだった。

(ルナ…………)

君麻呂はルナのそんな様子を見て、何も言わずにただ、ルナを腕の中に収めた。

ふとしたことがきっかけで泣きそうになることが、ルナにはよくあることを知っていたから。

その度に君麻呂は、ルナが大丈夫だと言って離れるまで、側にいるのだった。
/ 826ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp