第49章 二年後
ルナは今、ノースリーブの白い着物に身を包み、君麻呂と対峙していた。
対する君麻呂は、ルナと同じような着物の上に例の薄紫色のネジネジを巻いている。
ルナの蹴りを君麻呂が受け止め、君麻呂の骨をルナが躱す。
君麻呂の血継限界、屍骨脈VSルナの体術。
これは大蛇丸が留守にしているときの、定番修業メニューだ。
途切れることなく続く二人の攻防は、まるで舞を舞っているかのように美しかった。
この二年、ルナは大蛇丸の元で適度に実力を発揮し、修行を続けていた。
本気を出すことなく、術や能力を小出しにして、大蛇丸一味を欺き続けたのだ。
ルナの実力が自分を上回っていると気がついた大蛇丸が、サスケを再び狙ったり、ルナを始末しようとしたりしないように。
カブトに半ば強引にメスを握らされて、変な技術がスキルアップした気もするが…………
しかし、ルナを一番近くで見ていた君麻呂には、とうの昔にバレていた。
ルナの実力が大蛇丸を凌いでいることも、ルナがそれを隠していることも。
でも君麻呂は、それを大蛇丸には言わなかった。
死にかけていた君麻呂を救った……命の恩人であるルナの立場が危うくなることはできなかった。
その上……君麻呂のルナに対する感謝はいつの間にか、本人も気がつかないうちに何か別の物に変わっていたから。
いや、気がついていないというよりは、気がついていないフリをしていると言ったほうが正しいだろうか。
君麻呂はルナについて何かを思うたびに、僕が敬愛するのは大蛇丸様だけだと、自分に言い聞かせていたのだから。