第9章 アカデミーの日常
次の日、ルナはイタチに今日は用事があるから、と言って早めに家を出た。そして、忍者クラスの方へ行った。
すると、たむろしている男子の集団を見つけたので、迷彩隠れの術を使って会話を盗み聞きしてみた。
「イタチめ……クソッ!毎日毎日見せつけやがって……」
「ああ……俺だってルナちゃんとお話ししたいのに………」
「あいつ俺が前にルナちゃんに話しかけたら、物凄い顔で睨んで来やがってよ……」
「でもあいつにゃ俺らの誰もかなわないしよ……」
「ま、今日も軽ーくいちゃもんつけるか………」
(……………………く、くだらん。)
それからルナは嫌がらせの原因が自分だったことに気づいて、反省した。
しかし、自分の何が悪いのか、わからない。
もうこれは、別天神を使うしかないな、と思った。
そのためにはまず姿を現さねばならない。
ルナは迷彩隠れの術を解き、男子達の前に躍り出た。
「おはようございます!」
と言ってにっこり笑った。
すると男子達は驚きながらも、頰を染めて何やかんやと言っていた。
「ルナちゃん⁉︎かわいい………」
「我らが天使……」
「もう死んでも悔いはない……」
なんて、ぞっとするセリフも聞こえた気がしたけれど、ルナは無視した。
「突然ですが、いきますよ!
別天神!」
その場にいた全員に、イタチに二度と絡まないように、という命令を書き込んだ。
これで一見落着だ。
ルナはスキップしながら、まだぼうっと宙を見ている男子達を放ったらかして、くノ一クラスに向かった。