第9章 アカデミーの日常
うっかり口を滑らせたことに気づいて、ルナは焦った。
「まあ、このことは内密にお願い致します。特にイタチ兄さんには。」
「わかったよ。あ、あともう一つ疑問がある。ルナは何でそんなに大量のチャクラを持ってるんだ?」
「生まれつきです。」
「そうか……」
シスイは心なしかがっくりしているように見えた。
「ではシスイさん、これからもイタチ兄さんをよろしくお願いします。」
「ああ。全く、イタチは大した妹を持ったものだ。」
「では、私はこれで失礼します。」
ルナはそう言って去って行った。
未来をについて追及される前に。
「あ、そういえば、ルナに未来について訊くのを忘れてしまったな。」
シスイはルナが去った直後に呟いた。
(始めて会った時から思っていたが、あの子は相当な訳ありのようだ。
聞けば、アカデミーでもイタチと並んで素晴らしい成績を上げているらしい。
しかし、あの様子だと……ルナの実力は、既に計測不能なレベルのような気がする。)
「……今後が楽しみだな。」
シスイはルナの成長を待ち遠しく思った。
日が暮れかけていたので、ルナは家への道を急いでいた。
「シスイさんがいい人でよかったー!」
『そうですね。彼の行く末が心配になるほどに。』
「……そうだね。」
うちはシスイ自殺事件のことがルナの脳裏をよぎった。
(シスイさんも、死なせない!)
ルナは決意を新たにした。
李蘭と那由他もルナが未来について言ったことを忘れてしまったようで、ルナはホッとした。
『そういえば、ルナ様。』
「え?何?」
ギクッとして声が少しうわずってしまった。
『いえ、やっぱり何でもありません。
何か大事なことを忘れてしまったようで。はて、何のことだったか……』
(一応、セーフか……)
ルナは胸を撫で下ろした。