第48章 奈落へ
全てを聞いた後、白と再不斬がゆっくりと口を開いた。
「……そう、だったんですか……知りませんでした。ルナちゃんが、そんな辛い思いをしていたなんて……
…………シスイさんも、大変だったのですね……」
「……うちは一族襲撃事件に、そんなウラがあったとはな……思えば、はじめっから違和感はあったんだよな。
公には死んだことになってるはずのルナが男に化けて木ノ葉に潜入してたり……
……色々ぶっ飛んだコトが多すぎて、気が回ってなかったぜ…………」
白はイタチとルナ、シスイの境遇に同情し、涙を浮かべ、
再不斬は今までルナの過去についてあまり詮索してこなかったことを痛感した。
「……再不斬、白、これが、うちは一族襲撃事件の全てだ。イタチは、俺の友人だった。
あいつは昔から、何でもかんでも一人で抱え込もうとするクセがある……ルナはそれを止めたかった。
だが、イタチがそれを望むわけもない。だから、イタチも、ルナも……ああするしかなかったんだ……」
そう呟くシスイの頭の中に、いくつもの声が木霊する。
——————お前はなぜあのとき、イタチの、ルナの代わりになれなかった?
——————お前が罪を着るという選択は無かったのか?
——————一族はみな死んだのに、なぜお前だけがのうのうと生きている?
——————お前は、ルナの優しさに値する人間か?
——————お前に、この里に留まる資格はあるのか?
その声は全て…………シスイ自身の声だった。
うちは一族のことをイタチに任せ、サスケのことをルナに任せていた、その罪悪感が、今になってシスイを苛んでいたのだ。
——————木ノ葉に戻れば確実に命を狙われたとはいえ、神隠れに隠居してほとぼりを冷ますことが、本当に正しかったのか?
——————全てを知っていたお前が犠牲になれば、イタチも、ルナも、苦しまずに済んだんじゃないのか?
——————二人を犠牲にしてまで生き永らえるほど、お前は価値ある人間なのか?
暗い声がとめどなくシスイの心を抉る。
「……っ……」
この平和な里で、ここ六年感じてこなかった痛みに、シスイは歯を食いしばった。