第48章 奈落へ
「……はい。イタチさんとは、うちはイタチのこと。
世間では、うちは一族襲撃事件の犯人として知られています。ですが……」
李蘭がシスイの方をチラリと見る。
この先を話してしまって良いものか。
その目はそう訊いていた。
「……李蘭、ありがとう。俺から話すよ。」
当事者として、シスイはうちは一族襲撃の真実を語ることに決めた。
「……そう。イタチは確かに、うちは一族襲撃事件の犯人だ……だが、それは好き好んでやった訳じゃない。
もう、ああするしかなかったんだ……でなければ、里とうちはは戦争になっていた……
……木ノ葉の内戦を防ぐために、イタチは一族を皆殺しにすることを選んだんだ…………」
シスイが口を開き、当時の複雑な事情を説明し、イタチの真実を告げる。
イタチは一族と里のパイプ役として苦労していたこと、うちは一族がクーデターを起こそうとしていたこと。
イタチが極秘任務としてうちは一族襲撃を実行し、全ての罪を一人で引き受け、抜け忍になったこと。
しかしサスケを殺すことはできず、サスケに憎まれることによって、サスケの生きる目的となったこと。
ルナはイタチが両親を殺すのを見ていられず、代わりに養い親だった二人を殺したこと。
そのルナを連れてイタチは里抜けし、ルナは公式には死んだことになっていたこと。
そして、自分が神隠れにいるのは、里の上層部に眼を奪われ毒に侵され、
もう死ぬしかないと思っていたところで、ルナに救われたからだということ。
いつかここを去る再不斬と白には言わないようにしていた全てを、シスイは洗いざらい明かした。
再不斬と白は、最後まで黙ってシスイの告白を聞いていた。