第48章 奈落へ
「ふふふ、みなさん、そんなに深刻な顔をしないでください。
確かに私は、紅桔梗様には逆らえませんよ?
ですが、私は自分の身の上を不自由だと思ったことは、一度もありません。
紅桔梗様であれ、ルナ様であれ…………愛する主人に殉じるのは、そう悪い生き方ではないと思います。」
李蘭はそこまで言って、気持ちを切り替えた。
その主人の幸せのため、できる限りのことをするために。
「さて、本題に戻りましょうか。
さっきも言った通り、紅桔梗様の呪いとは、魂の繋がりを利用した、私の意思を完全に無視できるもの。
紅桔梗様亡き後は、私の認識によって、行動が制限されています。
つまり、私が命令に違反していると少しでも思えば、罰が下る訳です。」
「…………てことは、お前らが命令違反じゃねぇと思えば、やったってヘーキってことか?」
再不斬が確認する。
「ええ…………ですが、ほんの少しでも命令に違反していると思えば、もうそれでアウトなのです。
自分を完全に騙すことはできませんから。
今回の場合、感知能力のある私と那由他は、捜さずともルナ様の居所がわかりますから、
ルナ様の気配に向かっていかなければ平気、ということです。
だから、ルナ様の気配が無くなった木ノ葉に潜入することができたのです。
つまり、ルナ様に直接接触する、それ以外のことはできるということです。」
「そうか…………それはそれで厄介だな……」
シスイが小さく呟く。
「ええ……どんな努力をしても、ルナ様に会うことができないのですから……
それに、シスイさん達に捜させるのもダメというのは、シスイさん達がルナ様に近づいているのを、
見て見ぬ振りすることも許されないということです。
つまり……ルナ様の真意がわかっても、それを止めるのは非常に難しいのです。」
「うーん…………誰か、僕達の他に、ルナちゃんを止めてくれそうな人はいませんかね……」
白がぼそりと呟く。