第48章 奈落へ
「あ……あの、ルナちゃんの命令によって、李蘭さんと那由他さんができなくなっていることを、
正確に把握した方が良いのではないでしょうか……できることとできないことをはっきりさせた方が、
計画が立てやすくなると思うのですが……」
李蘭に言われて、白がおずおずと口を開く。
「……そういえば、そうですね……わかりました、ご説明致しましょう。」
李蘭は白の言葉に頷くと、ふぅっと息を吐いた。
「…………まず、紅桔梗様の呪いの仕組みから、簡単にお答えしましょう。
それは、私達の存在とは切っても切り離せないものです。
なぜなら、紅桔梗様によると……私達の魂は、紅桔梗様の魂を引き裂いた、その一部からできているらしいからです。
だから、親分格である紅桔梗様には逆らえない。
そして、紅桔梗様は装置に入る前、ご自身のお子様がたには、絶対に服従せよ、と言い残していかれたのです。
だから、私はルナ様に逆らうことができない。
…………例えそれが、ルナ様のためを思うが故のことでも。」
「そう、だったんですか…………」
白が静かに呟いた。
魂を引き裂く……それはどんなことなのだろうか。
きっと恐ろしいことなのだろうと、白は思った。
「私と那由他は、紅桔梗様の魂とチャクラの一部を、動物の遺骸を基にした身体に吹き込むことによって作られたそうで…………
私は鳥、那由他は狼…………本来の姿は、その名残りなのです。
作られた当初から、紅桔梗様は私達を自らの僕として扱い、
また私達もそれに疑問を持つことなく生きてきました。
まあ、つまりは、私達が紅桔梗様の呪いから逃れるには、
魂そのものを消し去るしかない、ということです。」
「…………」
李蘭の口から紡がれる壮絶な話に、三人が黙り込む。
永遠の牢獄に囚われた李蘭に、気安く同情したり、慰めたりするのは、かえってよくないとわかっていたから。