第48章 奈落へ
「…………驚いたな。まさか李蘭と那由他に、そんな能力があったなんて…………」
那由他がいなくなった後、シスイが呟いた。
「ええ、まあ。使い道は大してありませんけどね……
……特に私の能力は。だって、つまらないではありませんか。起こる前に全て知っているなんて。
それに、私の能力の場合、未来を見通すことで、未来を変えてしまう可能性さえあるのです。
こんな危険なものを、気安く使う訳にはいきません。最後に使ったのは、確か、百年ほど前でしたかねぇ…………」
「随分前だな…………」
再不斬が小さく呟く。
「ええ…………それに、そのときは、未来の誰かさんが開発した術をコピーしただけでやめておきました……
……運命に干渉するのは、罪の重いことですから。」
李蘭はそう言うと、ふぅと溜息を吐いた。
「…………さて。私は、今後の予定を立てますが…………
…………みなさんは、どうしますか?」
李蘭が緑色の目で、シスイ、再不斬、白を順に見つめる。
「……どう、とは?」
その言葉の真意が掴めず、三人は李蘭の視線を受け止めるだけだった。