第48章 奈落へ
「……李蘭。アレを使うときが来たんじゃないか?」
不意に、那由他が口を開いた。
アレとは勿論、妾が二人に授けた、過去と未来を見通す力だ。
この能力は、この世界での旅の途中で妾の神通眼に突然発現した能力で、
勿体無いからと、妾が装置に入る前に、李蘭と那由他に譲ったものだ。
しかし……ルナの方が、一枚上手だったようだ。
李蘭もそれを忘れてはいないようで、那由他の言葉に、ゆっくりと首を横に振った。
「…………それは、なりません。私はルナ様から既に、
アレを使うことがないように、とのご命令を受けてしまっているのです…………」
「なっ…………なんで俺に言わなかったんだよ、李蘭!」
那由他が興奮して立ち上がり、李蘭に詰め寄る。
「……………すみません。あのときは特にアレを使う予定も無かったので、問題ではないと思っていたのです。私が甘かった……
ルナ様は私と那由他の能力と制約に気づいていらっしゃったのに、私達は、ルナ様の真意に気がつくのが遅すぎた……
ルナ様は中忍試験本選前のあのとき既に、こうすることを決めていらっしゃったようなのです……
だから私の未来を見通す能力を、言葉一つで封印した…………」
「え……」
李蘭の告白に、那由他は項垂れ、シスイ達は目を見開いた。