第48章 奈落へ
「……問題はその後。大蛇丸を倒し、木ノ葉の敵のフリをし、私達の元にも帰って来るつもりがない。
ならば、ルナ様は一体、どうやって生きていくおつもりなのか?
…………心配しているのは、生活のことではありません。
ルナ様や私達、紅桔梗様の僕にとって、食事は娯楽の一環ですし、
他の物資や、住居でさえも、術を使用して調達するのはそう難しくありません。
私が心配しているのは…………ルナ様の、御心です。
確かに、ルナ様はお強い……潜在的な能力は、私や那由他を遥かに凌いでいらっしゃる……
…………最近のルナ様は甘えん坊さんでしたから、あまり感じなかったかもしれませんが、ルナ様は精神もご立派です。
僅か一歳のときから、神隠れの末裔として……自らを取り巻く様々なものを……
……全てを受け止めて、今日まで生きていらしたのですから。」
李蘭がごく淡々と語る。
「…………しかし。私が思うに、それは……イタチさんやサスケさん、
ルナ様にとって守るべき人が、側にいたからこそだと思うのです。
つまりですね……誰かを守りたい、守らねばならない、その使命感が、ルナ様を支えていたように思うのです。
それが無くなってしまったとき、ルナ様がどうなってしまうのか……私には想像もつきません。
大蛇丸を倒した後、素直に帰ってきてくだされば良いのですが……」
そこまで言ってから、李蘭はグッと唾を飲み込んだ。
愛しき主人の今後を憂いて、いつの間にか喉が詰まり、翠の瞳には熱い涙が溜まっていた。
「そんな……」
シスイが悲しげな表情で呟く。
那由他は唇を噛み締め、再不斬は黙り込み、白は何かを必死に考えているようだった。