第48章 奈落へ
「……大体、サクラ、ナルト!お前らはアイツの何を知ってるってんだよ!
お前ら二人とも、六年も前に数回会ったきりで、後はアカデミー出てからの一年ちょっとだけじゃねぇか!
俺は、一緒に住んでたんだぞ!六年も!なのに……アイツはうちはを…………裏切った!
ずっと俺達を…………騙してたんだ!」
サスケが立ったままそう叫ぶ。
負けじと、ナルトが立ち上がる。
「サスケこそ、ルナ姉ちゃんの何を知ってるってんだ!
姉ちゃんは……姉ちゃんはな、みんなに無視されて、俺が寂しくて辛かったあんとき……
いつもいつも、君は一人じゃない、できることがあれば何でも言ってねっつって、笑いかけてくれたんだ…………
最近だってずっと、俺達のために頑張ってくれてたじゃねーか!忘れたワケじゃねーだろ!
…………あんなやさしーヒトが、そんなことするワケねぇ!」
「その考えが甘いんだよ!俺だって昔は、そう思ってたさ……そうさ、アイツはいつだって、俺に優しかった……
……我儘言っても笑って許してくれたし、寝るときには子守唄を歌ってくれた……よく遊びにも付き合ってくれた……
…………あのときのアイツは確かに、俺の家族で、姉だった。」
サスケがナルトに言い返し、もう一度テーブルを叩く。
「……でも、それは!うちはを、木ノ葉を騙すための、ただの演技だったんだ!
終末の谷で見た……あれがアイツの本性なんだ!いい加減受け入れろよ!
お前も、騙された一人に過ぎないんだって!」
「そんなにルナ姉ちゃんとの思い出があるなら、なんでそんなあっさり受け入れられんだよ!
あんときのルナ姉ちゃんこそ、ただの演技かもしんないだろ⁈
なんで……どうしてだよ、サスケェ!」
そう言ったナルトの目は、いつの間にか濡れて光っていた。
ルナを信じたい気持ちと、伝えたいことが伝わらないもどかしさが、涙になって現れてきたのだ。