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神隠れの少女【NARUTO】

第48章 奈落へ


「……いや、変とかじゃなくて……やっぱりなんでもないよ。」

君麻呂は言いたいことをうまく表現できず、ルナから目を逸らした。

「……そうですか……あ、パーカーですね。今持って来ます。」

ルナはそう言うと、再び自分の部屋に引っ込んだ。


「……なぁ、君麻呂……ルナのこと、好きなのか?」

挙動が怪しい君麻呂を見て、ボケっとしていた重吾が突然切り出した。

「ぶっ‼︎」

その言葉に、君麻呂、香燐、カブトが噴き出す。

「……ゴホッ、ゴホッ……何を言ってるんだ、重吾。僕が敬愛するのは、大蛇丸様ただ一人だよ。」

「ふ〜ん、そうか。」

君麻呂の言葉に重吾はあっさり納得した。

その直後、ルナの部屋の扉が再び開いた。


「……すみません、君麻呂さん……お借りしてしまって……助かりました。」

ルナが頭をぺこりと下げて、綺麗に畳んだパーカーを差し出す。

「……いや、いいんだよ…………君は命の恩人なんだからね。」

君麻呂はそう言ってパーカーを受け取った。

ルナの僅かな残り香に、なんとも言えない気持ちになりながら。


「……恩人だなんて……そんな大層なことでは……」

「……なあ、おい……」

照れ笑いしているルナの肩を、礼を言いそびれたと思っていた香燐が軽く叩く。

「あのさ……あ、ありがと、な…………」

香燐は顔を真っ赤にしながら横を向いて、ただ一言、そう言った。

それでも、それを聞いたルナの表情が、パッと明るくなる。

「ふふっ、喜んでいただけて、良かったです!」

そして、そのままの勢いで香燐に抱きつく。

「うおぁっ⁈またかよ!アンタホントに年上か⁈」

「……ダメ?」

「……いや、ダメってわけじゃねーけど……」

「……じゃあ、いいですよね!」

そう言って香燐にベタベタと甘えるルナ。

誰もそれを止めることはしなかった。


「……なあオイ、誰か助けてくれよ〜……」

香燐の呟きに、聞く耳を持つ者はいなかった。


結果、ルナは大蛇丸のところにいるのも、なかなか楽しめそうだと思ったのだった。
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