第48章 奈落へ
「ルナ…………ルナ、どうして……」
届かなかった自分の想いと、頭の中をぐるぐると回り続ける疑問を持て余して、カカシは小さく呟いた。
ルナを貫いたときに感じた体温が、ふと腕に蘇る。
(俺に、自分の胸を貫かせたのは……私はそんなんじゃ死なない、って俺にわからせるため、なのか……?
それに何の意味がある?何のために、ルナは俺の無能を示したい?
それは恐らく……俺を成長させるため、だろうな……
ルナが言っていたことが本当なら、ルナは自分を倒すために強くなった俺を、殺したい……そう思っていることになる……
だが……それを裏付ける証拠は何もない。うちは襲撃の件だって、ルナがやったという証拠は無い。
……つまり、ただの狂言の可能性もある訳だ。
……まあ、どちらにせよ推測の域を出ない訳だが……)
同時に、ルナの黄金色に射竦められた瞬間のことを思い出して、ゾクリとした。
(……あのときのルナは……まるで、本当の死の天使のようだった……
……確か、波の国でも、同じような顔をしていたような気がする……俺はどうしてあのとき、気がつけなかった……?
ルナが……あのときはレイだったが、下忍があんな凄惨な笑顔で、平気で大量殺戮をする訳がなかったんだ……
……火影様の遠縁だからという理由で、追及を躊躇ってしまったが、
それも織り込み済みでもう一度木ノ葉に来たのなら、ルナも大した策士だな。
…………まあ、今となっては何が真実で、何が嘘なのかわからないが……)
ゾクリとした、その後に沸いた感情を、カカシはどうしても認める訳にはいかなかった。
ルナの神の金色に、更に魅了されてしまったなんて。
認められるわけがなかった。
その後のカカシの考え事は、ただ、堂々巡りを続けるだけだった。