第48章 奈落へ
「そのうちはルナが、大蛇丸のところに行ったということはだ……
大蛇丸は、いずれルナの身体を乗っ取る気らしいが……上手くいくとは思えん。逆に倒されるのが関の山だろうな。
問題はここからだ……カカシ、うちはルナは、サスケ達に、
『私は世界を征服する力を手に入れるために、大蛇丸のところへ行く』
と言ったらしいが……
……カカシ、お前はどう思う?この一年、担当上忍としてルナを見てきたお前は?
暗部時代に、何度かあの子と任務をこなしたことがあるというお前は?
あの子は本当に、世界征服を目論むような子か?
あの子は、木ノ葉の、敵か?」
答えによっては、里の総力をあげて、うちはルナを討伐する。
綱手はそういう顔をしていた。
カカシは正直、ルナの真意を理解しているという自信がある訳ではない。
ルナの心を理解できていたことなど、本当はただの一度も無いのだ。
カカシの中にあったのは、ただ……"ルナを信じたい"という気持ちだけだった。
「っ……俺、は……」
イエスともノーとも言えず、カカシが口籠る。
それを見て綱手は、自分が答えを迫りすぎたことに気がついた。
「…………すまんな。私は少々、気が急いていたようだ。
そうだな、そう簡単に答えられることではないな。
…………悪かった。この件は、もう少し様子見が必要だ。今は、身体を休めろ。
そうそう、安心しろ。サスケはかすり傷、ナルトは例のルナの能力でチャクラを吸われたとかでへばってるが、命に別条はない。
他は無傷だ……ナルト達の前にいたはずの中忍上忍の小隊は、門の前でグースカ寝てたらしい……つまり死者重傷者はゼロ。
…………それも、私がナルト達の報告を鵜呑みにできない理由だが。」
綱手はそう言うと、カカシの病室から出て行った。