第48章 奈落へ
終末の谷からしばらく行ったところに、大蛇丸のアジトはあった。
「ふふ、ルナちゃん、よく来たわね……待ってたわ……」
「……お久しぶりです、大蛇丸さん。」
ルナは、転生したばかりで包帯だらけの大蛇丸に、ぺこりと頭を下げた。
大蛇丸は君麻呂が言っていたのとは違い、怒ってもいなければ、不機嫌でもなかった。
それもそのはず、最強の器が自ら馳せ参じたのだから、大蛇丸は今、おかしくておかしくて仕方がないはずだ。
ルナの後ろでは、音の五人衆が、片膝をついて主に忠誠を示し、大蛇丸の傍にはカブトが立っていた。
「……五人とも、ご苦労様。ところで…………
…………君麻呂、身体の調子、だいぶ良さそうね?」
大蛇丸は少し首を傾げて、興味深そうに訊いた。
アジトを出て行ったときの君麻呂は、余命幾ばくもない状態だったのだから、驚くのも当然である。
「……はい。ルナが治してくれました。」
君麻呂は跪いたまま、それだけ言った。
「……そう。よかったわね。」
大蛇丸は包帯の下でクスクスと笑った。
(あの不治の病を治すなんて……神隠れの末裔とは一体……)
カブトはというと、驚いた顔でルナを見ていた。
「……あの、大蛇丸さん…………」
「……どうかしたの、ルナちゃん?」
ちょこまかした動作で、すぐ近くまで寄って来たルナを、大蛇丸が見下ろす。
「……ちょっと、失礼しますね。」
ルナはそう言うと、小さな掌を大蛇丸の胸に当てた。
そして、傷滅再生を使用して、大蛇丸の身体を治療した。
器同士の潰し合いでできた全身の傷は塞がり、例の封印術の傷もなくなって、大蛇丸は全ての痛みから解放された。