第48章 奈落へ
五人衆は、終末の谷のすぐ近くで雨宿りをしていた。
「君麻呂さーん!四人衆のみなさーん!すみません、遅くなりました〜!」
「……全くだよ。大蛇丸様はきっと、ひどく怒っていらっしゃるだろうね。」
悪びれた様子もないルナに、君麻呂が溜息を吐く。
「しかもなんだい?あの茶番劇は?大蛇丸様から聞いていたことと、随分違うことを言っていたけれど……」
「あはは、すみません。でも、ああでも言わないと、みんな私を敵視してくれないでしょう?だから、仕方なかったんです。」
「ふぅん……そう。ところで…………」
君麻呂はそう言うと、着ていた薄紫のパーカーの前のジッパーを引っ張り、脱ぎ始めた。
「わわわっ⁈君麻呂さん、一体何を…………」
ルナが慌てて、両手で目を覆う。
その直後、肩にふわっと、何かが掛けられた感覚がして、ルナはそろそろと、手を顔の前から退かした。
そこには、いつも通り無表情の君麻呂が、上半身裸で立っていた。
「………………君、本当に酷い格好してるよ。前も後ろもビリビリ。自覚あった?」
「ええーと、あまり……って、確かに酷い……」
作戦のことで頭がいっぱいだったルナは、今の今まで、服のことに気が回っていなかったため、そう言って苦笑いした。
「……はぁ。ちゃんと前も閉めてね。じゃあ、行こうか。」
「……はい、前も……って、えぇ⁉︎」
ルナは君麻呂がサラッと言ったことに、驚いた声を上げた。
四人衆はというと、そのテのガードが甘すぎるルナを見て、呆れたりニヤニヤしたりしていた。
「あ、あの…………み、見ちゃいましたか?」
ルナが、自分より一回り大きい君麻呂をチラチラと見ながら、恥ずかしそうに訊いた。
君麻呂は、大蛇丸から聞いていたルナの冷酷なイメージと、現実の可愛らしく子供っぽいルナとの違いに驚き、
少し驚いたような顔をしていたが、それはまだ、無表情の域を出なかった。
「……いいや。大丈夫だよ。さあ、行こう。」
君麻呂は、バッチリ見たとは言えず、そう言ってこの場を流した。
「……はいっ!」
ルナは君麻呂の言葉に元気に頷き、移動を開始した。