第47章 二度目の里抜け
ルナは、デモンストレーションはこれで十分だろうと、この状況を終わらせることにした。
「クスクス……ひとの心配、してる場合ですか?」
「‼︎」
ルナが神通眼のまま、カカシと目を合わせる。
その瞳の中には、イタチの万華鏡写輪眼と同じ紋様が、くるくると回っていた。
そう、ルナはカカシに月読をかけたのだ。
その内容は、ルナに写輪眼を力尽くで奪われるという幻を、繰り返し繰り返し、
体感時間にして二十四時間、丸一日ほど味わわせるというもの。
ルナの月読を受けて、カカシは声にならない悲鳴を上げ、意識を失った。
倒れてきたカカシの身体を、ルナは優しく受け止め、軽く抱きしめた。
「カカシせんせ……ごめんなさ………………ゴボッ!」
謝罪の言葉すら言い切ることができず、ルナはまた、赤い液体を唇から垂れ流した。
そろそろ限界が近くなり、頭がフラフラしてきたため、ルナは自分の身体から、カカシの腕を引き抜いた。
すると、その瞬間。
ルナの胸の風穴は、ルナの命遁を待たずして、一瞬で塞がったのだ。
これにはルナも驚き、数秒の間、呆けたように自分の胸の白い皮膚を見ていた。
(あれ?塞がっ……た?全然痛くないし、血が足りてない感じも無いし……
…………再生スピードが上がったとか?)
ルナは少し考えて、どうやら自分の治癒力は、この短時間で急成長したようだ、と結論づけた。
短時間に大怪我を二回もしたことで、身体が、再生スピードを上げねば、と認識したと。
「……まあ、不都合なことはないからいっか。」
ルナは独りごちた。