第47章 二度目の里抜け
(…………さてと。仕込みはこれで完璧なはず。
サスケはイタチ兄さんに復讐心を持つのをやめて、私を憎んでくれたっぽいし、
カカシ先生にうちはを皆殺しにしたのは私だって思わせるのにも成功した。
ナルトとサクラが不安要素だけど…………まあ、それは今後の活動で考え直させれば良いし……ベストは尽くした。)
ルナはアイスブルーの瞳で、飛びかかってくるカカシを見ていた。
神通眼を開いている訳ではないにも関わらず、その動きはひどくゆっくりに見えた。
(左肩、か…………カカシ先生も甘いな。こういうときは、心臓に一撃、グサッ、でしょ!
…………折角だから、痛いの嫌だけど、さっきのサスケみたく、そんなんじゃ私は死なないぞー、ってやるか。
カカシ先生には、もっと強くなって、オビトの根性を叩き直してもらわなきゃいけないし。
よし!その方向で行こう!)
ルナがそう思ったとき、カカシの雷切は、ルナの身体まであと10cmほどのところまで来ていた。
まっすぐルナを見つめているカカシに、ルナがニヤリと、邪悪な微笑みを向ける。
その直後、爛々と輝きだす金色の双眼に、カカシは今確かに、死の天使の降臨を見た。
瞬間、身体を駆け抜けた戦慄。
カカシはこのときになってやっと、ルナに無謀な戦いを挑んだことを後悔した。
しかし、今更勢いを殺すことはできず、カカシはそのままルナに突っ込んだ。
ズルッ……
何か温かいものに腕がめり込んだような感覚がして、カカシは恐る恐る、前を見た。
そこには……カカシに胸を貫かれたまま微笑むルナがいた。
ツツーッと唇の端から零れた血が、ルナが羽織っているカカシのベストに、黒いシミを作る。