第47章 二度目の里抜け
「だからぁ〜……まあ、七年も前のことですから、無理ないですね。私の顔、誰かに似てませんか?」
「君の、顔…………?誰かに?」
「ふふっ、酷いなぁ。やっぱり私のこと、忘れちゃったんですね。」
ルナは酷いと言いながらも、クスクスと笑っていた。
「いや……待て。確かに、見覚えがある。
まさか…………君は……いや、そんなわけ……」
カカシはそう言いつつも、もう気がついてしまっていた。
雪のように白い滑らかな肌、銀色の髪、宝石のように煌めく青い瞳。
形の整った薄めの眉に、大きな目を縁取る長い睫毛、スッと通った鼻、桜色の薄い唇。
そう…………今目の前にいる神々しく美しい少女は、間違いなくあの、うちはルナである、と。
「まさか……お前は…………ルナ、なのか……?」
カカシが恐る恐る、その名を口にする。
「ピンポーン!正解です!よくわかりましたね!
正直、カカシさんは私のこと、憶えてないんじゃないかと思ってました。」
ルナは途端に嬉しそうな顔になって、口元に手を当てて笑った。
「そんな…………お前を、忘れたことなんて……」
「あらら?そうだったんですか?私なんてどうせ、早死した部下の一人に過ぎないと思ってましたが。」
「!そんなこと!だって、俺にとってお前は…………」
「?」
いきなり必死になっているカカシに、ルナが頭上に疑問符を浮かべる。
「だって、俺にとってお前は…………とても、優秀な部下だったから……
……そうだ、今までどこで何をしてたんだ⁈」
カカシは、ルナのことを忘れていなかった理由を言いたくなかった。言える訳がなかった。
お前の強さと美しさに魅せられ、重過ぎる十字架にも潰されない精神に憧れ、ふとしたときに見せる優しさに惹かれて、
死亡が通達された後も、ずっと懸想していたから、なんて。