第47章 二度目の里抜け
「…………大分参っているようだね…………ここで何があったか、話してくれるかい?
…………君、名前は?」
皇レイ奪還任務の失敗を悟ったカカシは、急かすことはせず、カタカタと震えているルナに、優しく訊いた。
「……名前?私の、名前、は…………」
カカシの言葉に、ルナが首を傾げる。
(私の、名前?なんだっけ、えーと…………)
質問の答えを求めて、頭の中の靄がかかっている領域を、手探りで探し回る。
「私、の…………名前は…………あ……あぁああああああぁぁーー!」
まるで、その先は知らない方がいい、とでもいうように、強烈な頭痛がルナを襲う。
瞬間、ルナの脳内に、ついさっきまでの映像が鮮明に蘇った。
サスケに大きな嘘を吐き、サスケの恨みの矛先を自分に向けることに成功したこと。
サスケ、ナルト、サクラを気絶させた後、凄まじい叫び声をあげたこと。
そして、その後の記憶がないこと。
ルナは完全に、自分が神皇ルナであることを思い出したのだった。
「!どうした⁉︎ここで一体、何があったんだ⁉︎」
突然叫びを上げたルナに、カカシが狼狽え、ルナの肩を掴んで、顔を覗き込む。
ルナの濡れた髪は頰に張り付き、目は死んだ魚のようで、どう見ても通常の精神状態ではなかった。
だが、それでもルナは、眼球を動かして、カカシを見つめた。
ハッとするほど美しい青色の双眼に、カカシの視線が縫い付けられる。
「……ふふっ……私が誰か、ですって?酷いですねぇ。
昔はよく、一緒に仕事してたじゃないですかぁ〜……ねえ、カカシさん?」
「⁈どういうことだ⁈」
ルナの言葉に、カカシが身構え、ルナの肩を鷲掴みにする。