第9章 アカデミーの日常
今日はアカデミーで、イタチとルナはまた一緒に登校した。
だが、イタチはなんだか元気がないようだ。
「………イタチ兄さん、どうかした?」
「……いや、なんでもない。」
なんでもないわけがない。
ルナは何がイタチを悩ませているのか考えてみたが、見当もつかなかった。
そして、わからないまま教室の前に着いてしまった。
「じゃあね、イタチ兄さん!」
「……ああ。」
そのまま別の教室に入った。
今日は座学ばかりで退屈だったので、ルナはイタチにしてあげられることはないか、考えてみた。
結果、茶屋に連れて行って話を聞いてみよう、ということになった。
そして、アカデミーが終わった。
「イタチ兄さん!」
「ルナ…」
「ねえ、この後、茶屋行かない?いや、行こう。」
少し強引に誘ってみた。
「…わかった。」
イタチが誘いに乗ってくれて、ルナは少しほっとした。
茶屋に着いて、イタチは団子、ルナは餡蜜を注文した。
そして、向かい合って座っているイタチに単刀直入に訊いてみた。
「イタチ兄さんが悩んでること、何?」
「…………大したことじゃないんだ。」
「些細なことでも、笑ったりしないよ。
…………………イタチ兄さんが元気ないから、心配なんだよ。」
イタチは溜息を吐き、改めて、ルナには敵わないな、と思った。
「じゃあ……言うぞ。実は……」
「実は?」
「なんだか最近、上級生から難癖をつけられたり、絡まれることが多くてな………」
「そうなんだ……」
「毎日毎日絡まれると、流石にストレスが溜まってな……」
「うーん……どうしよう。」
ルナは上級生を黙らせる方法を考えた。
「あ!」
「何だ?」
「いいこと思いついた!私に任せて!」
「……?まあ、わかった。」
イタチは首を傾けつつも頷いた。