第9章 アカデミーの日常
これを聞いて、この世界ですべきことがわかった気がした。
「李蘭、話してくれてありがとう。」
「いえ、私にできることは、稽古をつけて差し上げることと、昔話をすることくらいですから。」
「そんなことないよ!李蘭と那由他がいたから、私は寂しくなかったんだよ。」
「ルナ様………」
李蘭は涙腺が緩んでいるのを悟られないように、目を伏せた。
「さて、話が長くなってしまいましたが、次の幻術、行きますよ?」
「はーい!いつでもどうぞ!」
「魔幻・奈落見の術!」
この術は対象者の一番見たくないものを見せるのだが、ルナは一体何を見るのか?
「うわーっ!ゴキブリーッ!
……コピー完了!」
(ルナ様の一番見たくないもの、ゴキブリ………?)
「次、行きますよ!
魔幻・奈落の術!」
これは奈落見の術の進化版で、五感に訴えるのだが、果たして………
「うわー、ゴキブリの飛び回る音までする!しかもなんかくさい!
……コピー完了!」
(やっぱりゴキブリ関連………)
「次!涅槃精舎の術!」
ルナの視界に、白い羽が舞い始めた。
「わー、なんか凄く眠ーい。これをコピーしたらお家帰って寝よー。
……コピー完了!」
李蘭は凄い勢いで成長していく主人に、口角を上げた。
「流石ルナ様です。今度はご自分で術を開発してみて下さい。」
「うん!やってみる!じゃ、帰って寝よー。」
ルナはそう言ってずんずん歩き出した。
「本当に寝るんですか………」
李蘭は呆れ気味に言った。
そんな感じでその日の修行を終えた。