第47章 二度目の里抜け
ルナはサクラの意外な言葉に、一瞬キョトンとしていたが、やがて我に返って、心底可笑しそうに笑った。
「……ふふふっ……意外だなぁ、サクラちゃんまでそんなこと言うなんて。
じゃあさ、どうしてそう思うの?私の説明に、何か疑問点でも?」
「それは……その……だって、その話をすることに、ルナお姉様には、何のメリットもないはずです!
それなのに、わざわざ、サスケ君に恨まれるようなことを事細かに……
私には、ルナお姉様が、サスケ君に憎まれたいがために、嘘を言っているように聞こえました!」
ルナとサスケのやり取りを、傍観者として冷静に見ていたサクラは、痛いところを突いた。
しかしルナは慌てることはせず、余裕たっぷりに、優雅な微笑を浮かべた。
「……ふふふっ……サクラちゃんは面白いことを言うよね。私がサスケに恨まれたがっている?
ふふっ……私、サスケに恨まれるかどうかなんて、気にしたこともないけど?
だって、サスケってば、イタチ兄さんにさえ遠く及ばないくらいだし、はっきり言って私の敵じゃないんだよね。
それに、真実を公開することに、いちいち理由がいるかな?」
「そんな……でもっ!」
「……まぁ、良いや。もうじきカカシさんが来る。カカシさんとも少し話したいし……
サクラちゃんはこれから、医療忍者としてサスケを助けてあげて?
それがサクラちゃんの才能を、最も有効活用できる道だと思うから。
……じゃあ、お休み。」
近くにカカシの気配を感じて、ルナはサクラの後頭部に手刀を入れて気絶させ、また丁寧に寝かせた。
「……う。」
サクラを寝かせた後、ルナの唇が小さく動いた。
「……あ……あ……あああああああああああぁぁああああああああぁぁぁーーーーっ!」
終末の谷にルナの慟哭が響き渡る。
それが悲しみからなのか、苦しみからなのか、ルナにはよくわからなかったが、
とにかく叫ばずにはいられないほど、ルナの精神は耗弱していた。
頭を抱えてうずくまり、声を抑えようとしてもできなかった。
いっそ舌を噛み千切ろうかと思ったが、カカシと喋れなくなるとイヤなのでやめた。
思考を保っているのが辛くて、ルナはそのまま、意識が朧げになるに任せた。