第47章 二度目の里抜け
「…………ナルト君。ありがとう。」
ルナはそう言って、ナルトの背中に手を回し、ギュッと抱きしめ返した。
(!ルナ姉ちゃん…………)
自分を包み込む温かく柔らかいものに、ナルトは目を見開いた。
(やっぱり姉ちゃんは、姉ちゃんのままだってばよ…………)
それから、ルナの濡れた髪から漂う香りに懐かしさを感じて、すぅっと胸一杯に、息を吸い込んだ。
そんなナルトの気は知らず、ルナはぼそぼそと喋り続ける。
「……でもね。それが私なんだよ。
自分のためだけに、大勢の命を犠牲にして、自分の楽しみのためだけに、お世話になった一族を殺して、
また自分のためだけに、ナルト君もサスケも、傷つけた…………これが事実。残念だけど。
だから………………ごめん。」
ルナはそう言うと、ナルトの耳元で子守唄の一節を口遊んで、ナルトを眠らせた。
意識を失ってよろめいたナルトをルナが受け止め、ゆっくりと地面に寝かせた。
「…………さて。サクラちゃんだけになったね。どうする?私と戦う?それともまだ、聞きたいことある?」
ルナはサクラの方を向いて、余裕たっぷりに首を傾けた。
「じゃあ……ルナ、お姉様、どうして……どうして、そんなに悲しそうな顔してるんですか?」
サクラはやっとのことで口を開き、そう訊いた。
「え?そんな顔してた?」
ルナはぎくりとしながらも、惚けたように笑って、首を傾げた。
「とぼけないで下さい!だって、さっきからずっと、涙を堪えてたじゃないですか!
さっきまでの話…………本当のこともあるかもしれませんけど、でも……
…………ルナお姉様がうちは一族を皆殺しにしたなんて、私も信じられません!」
サクラは思い切って、声の限り叫んだ。