第47章 二度目の里抜け
「……はぁ。サスケは寝ちゃったし……他の皆さんも、お休みなさい。」
そう言った一瞬後、ルナはナルト達の前から姿を消した。
いや、実際には姿を消したのではない、速すぎて見えなくなっただけだ。
ルナは一瞬のうちに五人と一匹の間を移動し、手刀を入れて、その全員を気絶させた。
結果、ルナが再びナルトの前に戻ったとき、その場で立っていたのは、
チャクラを吸われてへとへとのナルトと、足が竦んで動けないサクラだけだった。
「ふふっ……ナルト君にサクラちゃん…………サスケを、よろしくね?
君達がサスケと友達になってあげなくちゃ……サスケは強くなれないから。」
そう言って笑うルナの黄金色の眼から、ポロリ、と涙が零れ落ちる。
それとほぼ同時に終末の谷に雨が降り始めた。
天から降り注ぐ雨粒が、ルナの青ざめた白い頬を濡らし、身体にこびりついた血を洗い流し、泣き顔を隠す。
「ルナ、ねーちゃん……泣いてんのか?」
ルナの涙を見逃していなかったナルトは、そう呟いてルナに手を伸ばした。
「ふふふっ……泣いてなんか、ないよ…………」
(ああ、ダメだダメだ!せっかくここまで大芝居うったんだから、最後までやり遂げなくちゃ……泣いてなんて、いられない。)
ルナはフルフルと首を振って精一杯、それを否定した。
「でも……俺には、やっぱ信じらんねぇってばよ…………ルナねーちゃんが、そんなひどいことしたなんて…………
……だって姉ちゃんは……あのとき俺に、話しかけてくれて……俺に、一人じゃないんだよって、言ってくれて……
……最近だって、サスケや俺、サクラちゃんのために、一生懸命で、優しくて……
…………俺はやっぱり、信じねぇってばよ‼」
ナルトはそう叫んで、ふらつきながら、目の前に立っているルナを抱きしめた。