第47章 二度目の里抜け
「…………あるとき、神隠れの祖先は気がついたんだって。
自分の子供達が、周りの命あるものから、無意識に、手当たり次第にエネルギーを吸収してしまっていることに。
……つまり、能力を制御できていなかった。このままでは、この世界の他の生命が、危機に晒される。
……それを悟った神隠れの祖先は、ある"装置"を作り上げた。
その装置は、中に入れたもののエネルギーをそこそこの遠距離まで飛ばすことができる代物だった。
そして、神隠れの祖先は、里を築き、壁で覆った。自分の子孫達が、装置の力が及ばない世界に、出て行かないように。
装置と里が完成した後…………神隠れの祖先は、自ら装置の中に入り、二度と出てこなかった。」
ルナは話のその先を言いたくなくて、そこで言葉を切った。
ここから先こそが、ルナに深い深い関わりがあるところだからだ。
「…………でも、ルナお姉様!じゃあ、どうしてルナお姉様は今、ここにいるんですか?
そんなお伽話みたいな話されても、訳がわかりません!それに、三代目火影様を操ることができた理由になってませんし!」
サクラは混乱した中でも話をちゃんと聞いていたため、ルナにそう突っ込んだ。
ルナはサクラの言い分を聞いて、ふふっと微笑んだ。
「……サクラちゃんはやっぱり鋭いね。そう……神隠れの祖先は、自ら装置に入った。でも、それじゃ足りなかった。
神隠れの祖先が装置に入って以降、里では百年に一度、"依り代"と呼ばれる、
神隠れの祖先の先祖返りみたいなものが生まれるようになった。
依り代は生まれながらにして、無尽蔵とも言えるほどの凄まじい量のチャクラを持ち、祖先の能力を完全に使いこなせた…………
…………つまり、神隠れの祖先と同等の存在だった……ふふ、ここまで言えば、サクラちゃんならわかるんじゃない?」
ルナはそう言って、フイッとサクラを指差した。