第47章 二度目の里抜け
「旅に出たのは二千年前のこと。それから千年、三人はこの世界を彷徨った…………
そして、千年前。神隠れの祖先は、ある人間と出会って、恋に落ちましたとさ。
そして、結婚して子供を作って、幸せに暮らしてたんだって。」
ルナはそこまで言うと、ハァと溜息を吐いた。
「…………でもね、それで終わらなかったの。さっき、神隠れの祖先は、異界から来た神だって言ったよね?
……実は、神隠れの祖先は、神樹から得たチャクラの能力の他に、自前の能力を持ってたの。
それが、"命遁"。」
ルナはそう言うと、死神之舞を発動させて、ナルトに向かって放った。
ナルトは光のような速さで動く黒い鎌を避けきれず、死神之舞はナルトのチャクラを、死なない程度に奪い去った。
「……っ!なん、だ、これ…………ルナ姉ちゃん、なんなんだってばよ……何したんだ……?」
ナルトは急に身体に力が入らなくなって、地面に膝をついた。
ルナがかつてのルナではないとわかっていながらも私情を捨てきれず、青い目は戸惑ったようにルナを見つめていた。
「……ふふっ……ただ単純に、チャクラを吸い取ったんだよ。ね?九喇嘛もそう言ってるでしょ?
……ああ、九喇嘛ってのは九尾のことね。ま、いいや。
とにかく、神隠れの祖先は、他人のエネルギー……生命エネルギーや精神エネルギー、自然エネルギー、
それが合わさったチャクラさえも、吸収し、我が物にすることができたの。
その能力は、子孫達に受け継がれた…………不完全な形で。」
ルナはそう言うと、唾をごくりと飲み込み、気持ちを落ち着けた。
神隠れの起源について話すのは、ルナにとってはかなり辛いことで、気がつかないうちに、精神に負荷がかかっていたのだ。