第9章 アカデミーの日常
「ええ、神は取り込んだ神樹の実から遺伝情報を取り出し、自身の細胞を使って培養し、
神樹をもう一本つくり、元のところに植えたそうです。」
「えぇ………」
「ですが神は神樹を作り、育てるために多大なエネルギーを使い、千年ほど眠っていたそうです。
…………仮死状態、の方が正しかったのかもしれません。
目覚めた神は自分の分身として私や那由他を創り、放浪の旅に出ました。」
ルナはまだ驚きから覚めていなかったが、これだけは言えた。
「神は力に溺れなかったんだね。」
「神は元の世界に帰ることで頭が一杯でしたから……
……………あの男に会うまでは。」
「そう、それで………」
「一体あの男の何がいいのか、よくわかりませんでしたが………」
「本当、よくわからないね……」
「まあ、それは置いておいて………
そしてその千年ほど後、似たようなことをした輩がいて、それが他里の忍の祖先のようです。
神隠れはできて以来、殆ど他里との混血がありませんでしたから、
神の血と神樹の果実の力を他里の忍より遥かに濃く受け継いでいました。」
「だから神通眼は、三大瞳力の性質を合わせ持ってるんだ………」
ルナは神妙に呟いた。