第47章 二度目の里抜け
「ふふ…………そうだよ?私はうちはルナ。
一歳のときうちはフガクの養子になり、二歳でアカデミー入学、三歳で卒業、六歳で中忍昇格、七歳で暗部入隊……
……最終経歴は、暗殺戦術特殊部隊特別分隊隊長。主な任務内容は、抜け忍組織などの忍者集団や、他国の部隊の殲滅。
好きな食べ物は三色団子と昆布のおにぎり。
嫌いな食べ物は酢酸の入ったもの全部と辛いもの。
趣味は修業と読書。
まだ信じられないなら、そうだなぁ……サスケ、私が鳳仙花の術教えてあげたこと、憶えてる?」
ルナはニコリと笑って、小鳥のように首を傾げた。
「憶えてるっ……憶えてるよ!やっぱり、姉さんなんだな!どうして今まで黙ってたんだ⁈」
サスケはルナとの再会がとにかく嬉しくて、泣き笑いしながら叫んだ。
「ふふっ、それはねぇ…………」
ルナはそう言うと、何気なく、シュッと左手を振った。
だが当然、その動作に意味が無い訳はなく、ルナが起こした僅かな風は、
チャクラを練り込まれて真空の刃となり、サスケの服の袖を切り裂き、二の腕を浅く傷つけた。
「⁈ね、姉、さん…………?」
突然攻撃されたことに狼狽えるサスケに、ルナはいつもの笑顔を向ける。
「ふふっ、サスケ、わからないの?……そんなだから、イタチ兄さんを倒せないんだよ。」
「‼︎」
ルナの言葉に、サスケが目を見開く。
そして、それが内包する意味を思いついて、サスケの背中に冷や汗が流れる。
「まあ、倒せなくて良いんだけどね。
だって、サスケが恨むべきは、イタチ兄さんじゃないもん。クスクス…………」
「姉さん…………まさか…………」
姉さんが、みんなを殺したのか。
ルナは残酷にも、サスケが口籠もったその先を、あっさりと口にした。
「…………そう………………フガクさんとミコトさん…………うちは一族を皆殺しにしたのは…………私。
イタチ兄さんは、私を死んだことにして、私の罪を被ったんだよ。
ほんっとに、優しいよねぇ。まあ、甘いとも言うんだけどね。」
「そんな…………嘘だ……」
サスケはいつの間にか、プルプルと震えていた。
それは、怒りから生じたものではなかった。
ただ……信じていたものが崩れ去った、そのことにひどく動揺していたのだ。