第47章 二度目の里抜け
「……っ……」
大量出血した上に脳に血液が送られなくなったため、ふらついたルナの身体がぐらり、と傾く。
その細い身体を、ナルトとサスケは必死で受け止めた。
ビリビリに破れた黒いシャツの奥には、ただ目を背けたくなるような大穴が空いている。
千切れた雪の肌が血に染まって、その惨さを際立たせていた。
「レイ!なにしてんだってばよ!マジで死んじまうぞ!なんで……なんでだよォ!」
「レイ!……レイーーーっ‼︎」
支離滅裂な言動ばかりして、終いには自分から致命傷を食らったルナに、ナルトとサスケの頭はもうパンク寸前だった。
「……ふ、ふ………大丈夫……ヘーキだよ、ごのぐらい……ゴホッ…………」
そんな二人に、ルナは唇を吊り上げ、長い睫毛を伏せて、弱々しくも魅惑的な笑みを見せる。
しかし、その目は虚ろで、その実、ルナの意識はあと数分も持ちそうになかった。
だから、ルナは右手をゆっくりと動かして、傷口に当てがった。
(命遁・自己再生!)
自己修復を待つのはやめることにして、ルナは命遁を使って、一瞬で傷口を塞いだ。
命遁チャクラはあらゆる物質に変換され、ルナが失った身体を完全に補った。
そして、ルナは何も無かったかのようにむくりと起き上がった。
「……ふぅ。ほーらね、平気だったでしょ…………ふふ、教えてあげるよ。
どうして俺が、こんなことができるのか。ねぇ……"ナルト君"?」
ルナはそう言うと、立ち上がって飛龍の術を使い、空中に浮き上がった。
「⁉︎」
サスケ達はこの異様な状況に更に混乱し、ナルトはルナに君付けで呼ばれたことに引っかかりを感じつつも、
宙に浮いたまま微笑む血だらけのルナの姿に、目を奪われていた。