第47章 二度目の里抜け
ルナは突っ立ったまま、ルナを倒すべく迫ってくる二人を見ていた。
(……サスケ、ナルト…………強く、なるんだよ……もっと、もっと。
そして、大筒木カグヤを倒したら……次は、私がラスボスになるから。永遠に。
それで、忍界は平和になる…………多分。少なくとも、忍界大戦は起こらない。
だから………………ごめん。)
ルナの右肩と左肩に、ナルトの螺旋丸と、サスケの千鳥が迫る。
それがルナに命中する、その直前。
ナルトとサスケは、止まった。
「……レイ、もういいだろ?早く教えてくれってばよ!それから、木ノ葉に帰るんだ!」
ルナを傷つけたくないのか、ナルトは目に涙を溜めて、螺旋丸を構えていた。
サスケは黙っていたが、ナルトと似たような顔をしている。
そんな二人に、ルナはいつものように優しく笑いかけた。
「…………ダメだよ、二人とも。ちゃんと当てなくちゃ。ね?
まあ、螺旋丸は当たったら即死するかもしれないから、こういうときには勧めないけど。」
(まあいいや。ここらで、正体晒すか。)
ルナはそう言うと、千鳥が発生しているサスケの手を掴んで、自分の左胸に勢いよく突き刺した。
サスケの手がルナの温かい身体を割って進み、肋骨をへし折り、心臓を潰す。
そしてサスケの腕は、ルナの薄い胸板を、完全に貫通した。
ルナの唇から、こぷり、と血液が漏れ、サスケの手から千鳥が消える。
「…………ガハァッ!」
次の瞬間、ルナの口から血が噴き出した。
それをモロに浴びたサスケの服は真っ赤に染まる。
ルナはゆっくりと、パニックで動けないサスケの腕を、自分の胸から抜いた。
「……はは……ザズゲ、ごのぐらい、思いぎらなぐじゃ……俺は、倒せないよ?……ゴホッ、ガハッ!」
心臓が潰れたルナは、息も絶え絶えになりながら、血塗れの唇を動かして、サスケに笑いかけた。
「レイ……お前、何してんだよォオオオォーーー!」
ルナの血液で上半身が血だらけのサスケは、パニック状態のまま絶叫した。