第47章 二度目の里抜け
「ふー…………ね、凄いでしょ?正直、この翼は邪魔臭いだけなんだけど……感じるんだ。
俺の身体の中に、かつてないほど強大なチャクラが渦巻いているのが。
みんなも、なんとなく感じてるんじゃない?」
「う…………」
ルナの言葉の通り、小隊の八人は、ルナが醸し出す、禍々しく圧倒的なオーラに気圧されて、一瞬金縛にかかっていたのだった。
一頻り翼を見せびらかすと、ルナは地面まで飛び降り、呪印を閉じて翼を引っ込めた。
「ね?凄いでしょ。きっと、大蛇丸のところに行けば、俺はもっともっと強くなれる……
…………世界征服も夢じゃない。だからだよ。」
そう言ってニコリと笑うルナ。
状況が状況でなければとても魅力的なその笑顔は、この終末の谷にはひどく場違いだった。
「じゃあさ、じゃあさ!なんで、世界征服なんてしたいんだってばよ!」
ナルトが叫ぶように訊く。
「さーあて、ねぇ…………それが知りたかったら、俺を倒してごらんよ。
どちらにせよ、俺を連れ帰るには、俺を倒すしかないんだし。全員纏めて、相手するよ?
……ほら、来なよ。ナルトは螺旋丸で。サスケは千鳥で。シカマルは影真似で。ネジさんは柔拳で。サクラとリーさんは体術で……
……みんなで協力すれば、俺を倒せるかもよ?…………さあ、来い。」
ルナは手招きをして、小隊の八人を挑発した。
「……そーゆーなら仕方ねえってばよ!行くぞ、サスケ!」
「……ああ。」
サスケは、自分達がルナに勝てる可能性は限りなく低いことはわかっていたが、
それでもナルトと一緒に、ルナに向かってまっしぐらに飛び出した。
それほどまでに……イタチに復讐しようとしていることを忘れそうになるほどに、
サスケにとって、"皇レイ"との日々は、大切なものになっていたのだ。
(レイ…………俺はお前を失いたくない。)
サスケは左手に千鳥を纏い、微笑を浮かべて立っているルナに突進していった。
(って、ヤベッ!)
シカマルが慌てて影を伸ばしてルナを捕らえ、ルナをその場に縛りつけた。
ただ、それは当然ルナが避けなかったためであり、シカマルは影真似が一発で成功したことに違和感を覚えた。