第47章 二度目の里抜け
「じゃあ…………レイ君、なんで昨日は、あんなこと言ったの?嘘だったの?」
「クスクス…………嘘じゃないよ。俺にはやるべきこと、やりたいことがあるよ。
そのためには、木ノ葉を敵に回すのだって怖くないし、誰を殺すのだって構わないよ?」
「じゃあ、なんなのよ!その、"やるべきこと"って!」
ヒステリックに叫ぶサクラに、ルナは不気味なほど柔和な笑みを返した。
「…………世界征服。それが俺の目標。そのために、力をくれる大蛇丸のところへ行くんだよ。」
(なーんつって。ていうか、私嘘のセンスなさ過ぎでしょ!
もうちょっと、こう、説得力のある嘘吐けないかなぁ……)
ルナは最近の自分の脈絡がなさ過ぎる言動に呆れながらも、笑顔でそう言い切った。
「な…………」
あまりに予想外なルナの答えに、小隊の八人はあんぐりと口を開けた。
「レイ、なにワケわかんねーこと言ってんだ!世界征服なんて、お前のガラじゃないだろ!
本当のことを言えよ!本当は、大蛇丸に何か弱みでも握られてるんじゃないのか⁈」
サスケはルナにそんな野心があったとは思えず、偶然にもいいところを突いた質問をした。
「…………大蛇丸に弱み?この俺が?ナイナイ。そんなモンあったら、とっくに殺してるし。
力をくれるっていうのは、この呪印のことだよ。」
ルナはヘラヘラと笑って、首の三つ巴を指差した。
呪印を開き、そのエネルギーを背中だけに集中させると、またルナの背中は熱を持ち始めた。
「くっ……あぁあっ…………」
身体を貫く痛みに、ルナが小さく声を上げる。
そして、次の瞬間、その背中には、さっきと同じ、黒い翼が生えていた。
ルナがバサァっとそれを広げると、艶々した黒い羽根が、何枚か抜け落ち、ひらひらと宙を舞った。
その驚異的な変化を、小隊の八人は呆然と見つめていた。